群馬大学医学部同窓会長
白倉 賢二(昭和50年卒)

 群馬大学医学部が創立された1943年から、9年後の1952年に刀城クラブは創設されました。以来約70年が経過し、会員数は約6,500人を数えております。群馬大学は国立大学から国立大学法人となり、同窓会の役割も変化しております。刀城クラブの目的は会員相互の親睦を図るとともに、群馬大学医学部の発展に寄与し、併せて学術研究の向上に貢献することにあります。この活動理念は刀城クラブ会員の母校に対する強い愛情によって支えられております。

 2020年より世界に蔓延した新型コロナウイルス感染症は、国民の生活様式に大きな影響を及ぼし、経済の低迷をもたらしております。教科書でしか知ることのなかったパンデミックに、我々医療側の対応はそれなりになされていると思いますが、社会の対応は未だに混迷し、群馬大学においても経済的困窮学生対策が急務となっております。そのような中で刀城クラブが会員に呼び掛けることにより、令和2年度には全国の会員から約600万円の基金が群馬大学に寄せられました。刀城クラブも災害緊急対策費より100万円の支援金を医学部学生の援助に充てました。この援助活動はさらに継続して行われなければなりません。親睦、発展を図るという抽象的な概念から、より具体的な活動が同窓会に求められております。
 来年創設70周年を迎え、刀城クラブは今までの任意団体から一般社団法人へ、法人化を行います。同窓会の伝統を守りつつ、社会的責任を果たし、同窓会活動を活発化させるとともに、会員の権利を守るためには法人化は避けて通れないと考えております。同窓会は法人格を持つことにより、その活動に法的な裏付けを得て活動の責任は法人が持つことになり、より大きな事業を担うことが可能になります。
 1975年当時に学生から山小屋を作ってほしいという要望があり、事業遂行のため同窓会が公に財産を持つために法人格が必要となり、同窓会の資金を基に1979年に認可、設立されたのが財団法人群馬健康医学振興会で、山小屋建設は実現しませんでしたが、現在は公益法人となって地域貢献活動を行っております。法人法上、地域貢献、研究助成、学会支援などの事業は公益法人が適しており、その他、会員や大学支援活動には一般法人が行い、一般社団法人の同窓会と、公益財団法人の健康医学振興会が車の両輪として同窓会活動と、その一環である地域貢献活動を担っております。
 荒牧キャンパスは1970年に前橋市日吉町より現在の地に移転してから50年の歴史を刻み、樹木が生い茂り、大学らしい風格のある景観を示しております。昭和キャンパスは建設当時、周囲に家はなく、畑と荒地だったそうですが、同窓会発行の『群馬大学医学部30年の歩み・P168、緑の学園』によると、初代校長の石原忍先生が学園の緑化にご留意され、現在の大ヒマラヤシダやイチョウの木は第1回卒業生、イチョウ並木は第2回生が植樹し、病院外来前の桜は道路の拡張のため植え替えられましたが第3回生が植樹してくださったものとされ、これらの樹木は昭和キャンパスを象徴しております。刀城クラブは会員の皆様と連携し、互いに向上し、群馬大学の発展のために活動して参りたいと思います。会員の皆様のご協力をお願い申し上げます。 

                                           
                                      令和3年4月1日