校長挨拶

ご挨拶

 

 

 愛知県立国府高等学校同窓生の皆様におかれましては、日頃から本校の教育活動に御理解と御協力をいただきまして誠にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
 創立100周年事業の際には、100年という大きな節目にふさわしい豪壮な正門・中庭を整備していただきまして、誠にありがとうございました。晴朗な日には、生徒たちが中庭で楽しげに昼食をとっており、青春を謳歌しているその姿は、とてもほほえましいものです。この素晴らしい環境をずっと維持し、生徒にとって国府高校での生活が、青春の一ページなるよう努めてまいります。

【これからの学校教育が目指すもの】
 さて、これから私たちが生きていく社会は、急速な技術革新のもと、グローバル化や情報化がますます進み、仮想空間と現実空間が融合した新たな未来社会society5.0になると言われています。これからの社会は、ますますインターネットやAIが進歩し、働き方や生活形態を一変することでしょう。
 令和4年度から年次進行で実施されている学習指導要領では、2007年に定義された学力の3要素「基礎的・基本的な知識・技能」「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」を踏まえ、新しい時代に必要となる資質・能力に関して次の3つを挙げています。
 ① 生きて働く知識・技能の習得
 ② 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成
 ③ 学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養
 ここで注目すべきことは、育成を目指す学力の3要素の前に記載されている修飾文
  “生きて働く”
  “未知の状況にも対応できる”
  “学びを人生や社会に生かそうとする”
の部分です。新学習指導要領は、急激に進歩する新たな未来社会を意識しており、学校教育の目指すゴールが単なる知識の習得だけではなく、いかなる未来社会においても学習した内容を活用できる「生きる力」の育成にレベルアップしています。

【育成を目指す資質・能力】
 では、いかなる社会においても生きて働く活用力を育むために、学校はどのようなことに留意して教育活動を展開していくべきなのでしょうか。
 そのヒントは、文部科学省の国立教育研究所が2013年にまとめた21世紀型能力にあります。21世紀型能力とは、日本の教育が目ざす「生きる力」をはぐくむための具体的な方向性として、21世紀に求められる人間の資質・能力は何かを定義したものです。(国立教育政策研究所『教育課程の編成に関する基礎 的研究 報告書5 社会の変化に対応する資質や能力を育成 する教育課程編成の基本原理』(平成 24 年度プロジェクト研究 調査研究報告書 http://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/Houkokusho-5.pdf))
「基礎力」「思考力」「実践力」の三層構造のうち、学校教育では「思考力」の育成が重要になってきます。

【校訓『学学術 為当為』の具現化こそが本校の目指す教育】
 最後に、本校の教育方針について考えます。
 本校には素晴らしい校訓『学学術 為当為』があります。本校の校訓『学学術 為当為』は、平成12年創立80周年記念を機に、第20代校長大河原晧視先生が創案し定められたものです。
『学学術(学ぶ術を学ぶ)』は、単に知識の習得にとどまらず、広く学ぶ方法を学び、向上心や探究心に基づき、いかなる事態にも柔軟に対応できる幅広い力を身に付けることを言います。『為当為(当に為すべきを為す)』は、将来に渡って今やるべきことを実践し、また様々なことに積極果敢に挑戦して、より高い自己実践を目指すことです。
本校の校訓『学学術 為当為』は新学習指導要領の方針にも合致する、素晴らしい校訓であり、この校訓を具現化することが本校の目指す教育といえます。

 本校卒業生が、これからの複雑多様な未来社会で活躍できるよう、教職員一同一丸となって、教育活動を推進してまいります。

令和5年6月 愛知県立国府高等学校長 齋藤 育浩