1954(昭和29)年、高校卒業後の進路として短大・大学を選ぶ女性が少ない時代に、「これからは、女子も知識と教養を身につけるべき」という親の勧めで、静岡女子短期大学の家政科に入学しました。
校舎は、3月まで通っていた静岡城北高校と同じ敷地内にあり、同級生も数人が一緒に進学したことから、入学当時は高校時代の延長のような気分でした。
短大のカリキュラムは、鈴木学長先生の方針で、一般教養科目が数多く開講されており、1年目は哲学や倫理学、法学、経済学、西洋・日本美術史や音楽史など、手当たり次第に履修しました。
高校時代には知り得なかった専門的な内容を学ぶことができ、一つ一つの授業がとても興味深かったことを覚えています。
2年目には、食物・被服の専科選択があり、私は食物を選びましたが、今と違い、時間があればどちらの科の授業も受けることができました。被服の学生が調理実習に参加し、食物専科の私も、被服の「色染学」や「色彩学」を聴講させていただきました。講師は、静岡市出身の染色工芸家で、のちに人間国宝となられた芹沢銈介先生でした。
他の科目も、今では考えられないほど、錚々たる著名な教授陣に教えていただきました。
(短大食物4回生 K.H・談)