令和6年度 熊本大学卒業生表彰

荒木淑郎 先生 (昭27年熊本医科大学卒、熊本大学名誉教授)

 荒木淑郎先生は、九州大学、川崎医科大学、宮崎大学で勤務され、日本の神経内科学の発展に多大な貢献をされました。また、多くの優秀な神経内科医を育成され、その成果は現在も広く活かされています。昭和57年から平成4年まで熊本大学第一内科学講座の教授を務められ、140名を超える門下生が熊本県内外で医療や医学の発展に貢献しています。
昭和60年から平成元年にかけては、熊本大学医学部附属病院長として、病院運営と医療環境の向上に尽力されました。
 研究面においては、昭和42年九州大学助教授時代に熊本県北部在住の患者がそれまで我が国では報告が無かった家族性アミロイドポリニューロパチーであることを突き止め、本症の臨床像および病理学的な特徴を詳細に解明し、国際学会および国際医学雑誌に研究成果を発表されました。以降、ライフワークとして本疾患の研究を一筋に継続し、本症の原因究明と共に治療法開発の基礎を築かれました。
 その他、厚生省アミロイドーシス調査研究班班長に加えて、厚生省筋ジストロフィー及び関連疾患の病因と治療法開発に関する研究班長として、様々な難病研究を行ってこられました。熊本県の公害問題である水俣病の臨床研究および認定審査会の委員・会長、中央公害審議会委員を務め、その解決にも尽力されています。平成元年には、WHO IPCS(国際化学物質安全性計画)会議に日本代表として参加し公害対策に関して議論してこられました。

 これらのご功績により、環境保全功労者表彰、武田医学賞、熊日賞など数々の賞を受賞され、平成17年には瑞宝中綬章を授与されています。
このたび、令和6年11月4日(月)、熊本大学本部棟大会議室にて表彰式が執り行われました。荒木先生の受彰を心よりお祝い申し上げます。

左から 三隅洋平脳神経内科学講座准教授(平14卒)、遠藤文夫熊杏会会長(昭51卒)、
荒木淑郎名誉教授(昭27卒)、二塚信熊本大学同窓会連合名誉会長(昭39卒)、
安東由喜雄名誉教授(昭58卒)、尾池雄一医学部長、植田光晴脳神経内科学講座教授(平11卒)

熊本大学学長、理事、関係者との撮影