熊杏会員の皆様 熊本地震に当たり
熊本を4月14・16日と震度7を超える未曾有の地震が襲いました。この熊本地震と命名された震災については、連日メデイアで詳しく報じられましたので、同窓の皆様にはご存知のことと思います。
在熊の医療機関におかれては、約6割が損傷を受けています。このような、ハード・ソフト両面においてギリギリの状況の中で1、400名を上回る負傷者の治療に当たるだけでなく、病院を避難者のために解放し、食事や飲料水の提供をしたり、避難所の健康管理に当たる等、地域医療の先進地としての実力を遺憾なく発揮しておられます。同窓の皆様のご奮闘に敬意を表するとともに、心からお見舞い申し上げます。
ところで、わが母校は依然として特定機能病院として熊本の医療の最後の砦の役割を果たしていますが、研究室の損傷はまことに甚大で、我が国でトップクラスの研究の続行が危ぶまれる事態に立ち至っています。重大な損傷のために、使用不可能となり移転を余儀なくされた部署が12分野に及びます。現時点で、その損害額は10億円を上回るものと想定されています。
ここにおいて、わが同窓会としまして、催事のために積み立てていました基金のなかから、公的援助が得られない、被災学生の緊急支援一時金として、医学部より要請のあった600万円を取りあえず医学部後援会と共同で寄附することを昨日開催しました熊杏会理事会で決定しました。創立120周年記念事業のうち、資料収納庫の設立は当面延期し、皆様にお寄せ頂いたご寄附(現在2,300万円)は更に続行したいと存じます。何卒、この非常事態をご理解いただき、ご了承をお願いいたします。
なお、熊本大学の全学としても、甚大な被害を受け、同窓の原田信志学長を先頭に文科省との折衝を始め、その対策に懸命に当たっています。現在のところ、ハード面については、今秋に予定される2次補正予算で措置される予定です。
しかし,その措置が一切認められない被災学生の就学支援のための基金に絞って、皆様もご存知の熊大基金の中に、熊本地震復興支援基金を立ち上げております。このなかには、当然医学部・大学院も含まれています。従いまして、寄附目的欄に「熊本地震復興事業(医学部医学科)」と指定してご寄附をお願いいたします。詳細については同封しております「熊本大学基金」をご覧ください。熊杏会理事会においてこれに協力することを決定しました。つきましては、幾重にもお願い申し上げてまことに恐縮ですが、緊急事態に直面する事情をご賢察頂き、ご支援を頂きますよう改めてお願い申し上げます。
同窓の皆様のご健勝を祈念申し上げ、ご報告とお願いにさせて頂きます
平成28年5月19日 熊杏会長 二塚 信
追記
‘熊杏‘61号が熊本地震の直前に刊行に至りました。本号には触れておりません。次号で詳細について特集する予定です。何卒ご賢察をお願い申し上げます。