206 コンクリート船
東広島市在住の漫画家 村上たかし さんが、ビックコミックオリジナルに「コンクリートの船」を連載中です。戦時下で鉄鋼が不足する中、4隻のコンクリ―ト船(武智丸)がつくられました。そのうち1隻は呉に配備され、石炭などの物資を呉や広の海軍工廠に輸送したそうです。
太平洋戦争は8月6日に広島、そして9日の長崎への原爆投下を経て、15日に終戦を迎えます。その約一か月後の9月17日には、原爆の被害が癒えない広島に枕崎台風が襲来、沿岸部の安浦町三津口地区の漁港は高潮や洪水によって大きな被害が出ました。そうした災害対策の一環として、敗戦によって役目を終えたコンクリート船2隻が、防波堤という新たな役割を担ってこの地に設置されたのでした。それから78年の年月が経過しています。
三連休の最終日、現地を訪ねてみました。無謀な戦争の遺物として、平和の大切さを無言で訴えるとともに現役の防波堤として静かに港を守っています。作者の 村上たかし さんは、平成4年から10年まで賀茂高校の美術教師として勤務された 石井 宏 先生(物故)のご家族にあたられます。
強面のお顔ながら、時々、キュートな笑みを浮かべてウイットに富んだ話題を振りまいておられた石井先生を、静かな海を眺めながら懐かしく思い出しました。