173 校歌と文学
賀茂高校校歌は開校翌年の1954年に制定されました。歌詞には校是「信・敬・愛」が組み込まれ、「ほこりの校章(しるし)かもあふい」「賀茂のさとわ(里わ)を歌ひゆく」「愛の啓示(さとし)に幸(さき)はふ我等」など、歴史的仮名遣いや詩的な読みの漢字がちりばめられています。また、学校からは望めない「白鳥山」や河川名としては存在しない「西条川」が歌われるのも特徴的です。
作詞は神辺町出身の童謡詩人で、教育者としても名高い葛原しげる氏です。作詞した童謡は代表作の「夕日」をはじめ4000篇とも言われ、賀茂高校や広陵高校など全国約400の校歌の作詞も手がけました。福山市を代表する文学者として「ふくやま文学館」にその経歴や作品が展示されています。
福山城北の文化ゾーンに位置する「ふくやま文学館」は、井伏鱒二に関する常設展示をはじめ、福山市ゆかりの文学者の人物像と作品を展示しています。井伏の代表作には実在する日記を基に被爆の実相やその非人道性を描いた「黒い雨」がありますが、広島県西部にも広島にゆかりのある文学者の作品や被爆の文学資料を展示する文学館の建設が待たれます。