151 巡る

先日、トレーニングを兼ねて自宅近くの曾場ケ城山(607m)へ登りました。ピーク及び城跡への道すがら、四国八十八札所のご本尊に順じた「八本松八十八石仏」のうちの約五十体が配置されています。舟形の光背を有し、小ぶりで穏やかな表情に癒されながらの登山です。

曾場ケ城本丸跡付近からの眺望はよく、広島大学や二神山,賀茂高校の体育館やグラウンドも望むことができます。昭和31年の卒業生で,数学科教諭として昭和57年から平成10年まで母校で勤務された 近藤 五十憲 先生 は、石仏の案内やそのエピソードなどをまとめた「八本松石佛 再発見物語」を退職年(1998年)に発行されました。

著作のエピローグに「私は石佛との対話の中で、いつも己の偽善ぶりを叱られ続けたように思う。私という存在が、周囲の多くの人やものによって、いや周囲だけでなく気付くことのない遠くのものからも支え続けられていることを、見落とし、無視し、己の力で生きているかのごとく、『自分のやっていることは正しい』と聖人ぶっていることへのお𠮟りである。そして、己の未熟さ、いい加減さ、ずるさに気付かされ、それでも多くの人たちに支えられていたことに思い至ったのである」と記されています。病の宣告を受けたことをきっかけとして、健康回復を目的に石仏巡りを始め、様々な再発見をされたのであろう近藤先生の思いが響いてきます。

事務局の窓から

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