209 賀茂
先日の総会にお招きた京都の上賀茂神社宮司 髙井 俊光 氏が、下鴨神社との関係を「神の子イエス」 と「聖母マリア」の関係に例えられていました。
上賀茂神社の正式名称は賀茂別雷神社で、そのご祭神は文字通り賀茂別雷命(カモワケイカヅチノミコト)です。けがれを祓い、悪しきを打ち払い、運をひらく神様として信仰されています。その賀茂別雷命の母は玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)ですが、八咫烏に化身し神武天皇を勝利に導いて日本の建国に力を尽くしたとされる賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)とともに下鴨神社(賀茂御祖神社)のご祭神です。ある意味、両社は親子の関係と言えます。
かつて平安時代後期に下鴨神社の寄進地系荘園(都宇・竹原庄)が存在した現在の竹原市には、賀茂川を挟んで北西に賀茂神社そして南東に下賀茂神社が位置しますが、いずれも賀茂別雷命を祭っています。また、八本松の篠地区に位置する岩蔵神社のご祭神も同じく賀茂別雷命です。
この岩蔵神社の御神体としてそびえる虚空蔵山(別名 岩室山 666m)の頂上付近には巨岩があり、その岩窟中にご祭新神を奉祀したと伝えられています。賀茂の名を有する神社や地名は全国に散在していますが、この旧安芸国賀茂郡の地も、かつて賀茂族が勢力を有した土地であったのではないかと思われます。