平和への祈り

部活動名 書道部
催行日 令和4年8月
場所 第46回全国高等学校総合文化祭東京大会・書道部門出品

 

 今回神奈川県代表として、全国大会に出品することができ、とても光栄に思います。

 私が臨書した作品は、弘法大師空海による「灌頂歴名(かんじょうれきめい)」というものです。これは、密教の入門儀式である、結縁灌頂を行った際に、受法者の名を書き留めた「卒意の書」と呼ばれるものです。「卒意の書」とは、誰かに見せるなどの目的を持たない、メモ書きのようなもので、行のゆがみや字形の変形が大きな魅力となっています。この作品の臨書は、私が今まで学んできた、習字の美しく整った文字とは違う、書の表現の奥深さに苦戦したことをよく覚えています。

 全国大会への出場が決まってからは、実感も湧かないまま、12月からの2ヶ月半、必死に練習に取り組みました。コロナウイルスの第3波の影響によりオンライン授業に切り替わり、部活動は停止され、厳しい状況になりましたが、用具を家に持ち帰り、なんとか練習を再開させることができました。先生と直接話すことができないため、画像メールや電話でやり取りをし、ご指導いただきましたが、実際に見てわかることも多いため、あまり思うように取り組むことができず、悔しい思いもしました。また、空海の作品の背景や文字を1字ごとに研究したり、構成が大きく変わったりと、大変なことがたくさんありましたが、最後までやり遂げることができたのは、仲間がいたからだと思います。

 私が選ばれたことにより、全国大会に行けなかった部員たちの気持ちに応えたい、応援してくれる仲間に私でよかったと思ってもらえるように、努力を重ねました。全国大会に向けた作品制作の期間では、先生や部員、家族だけでなく本当にたくさんの人たちに協力してもらい、支えてもらいました。今まで応援してくださったすべての皆様に感謝しています。ありがとうございました。

 筆者である空海は、人々を救うために生きたと言われるほど、人々に寄り添い尽くした人物で、今も高野山で生き続けていると言われています。世界は今、逆境に立たされています。作品を通して、空海の人を思う気持ちが届きますように、思いを込めて書き上げました。平安な世になりますように空海と共に願っています。

2年 道祖尾 咲妃

 



「平和の祈り」

■写真左の円筒作品「慰霊の塔」は、亡くなったウクライナ国民、ロシア兵へ。

■写真右の屏風右上の赤丸パネルには、「平和の礎」が刻まれています。

■扇型パネルにはウクライナ語で、「ウクライナの地が人々の幸せを育み、平安が訪れることを祈ります。」と、書いています。

■パネルの下段には、さまざまな書体で「命」の文字を画像と調和しました。

市ケ尾高等学校・書道部