皆様、いつもありがとうございます☺️
桜丘会の会員様に高校時代の思い出や卒業後の進路、現在のご職業や活動について紹介させていただきます。
第48回目は宇津野秀夫様にお願い致しました✨
宇津野秀夫さん 27回生(昭和51年卒業)
普通科
【🌸卒業後の略歴🌸】
名古屋大学 航空学科
東京大学大学院 航空宇宙工学専攻 修士
神戸製鋼所 機械研究所(25歳~45歳)
京都大学 機械理工学専攻 准教授(46歳~53歳)
関西大学 機械工学科 教授(54歳~)
【🌸桜台高校での思い出と現在のご活躍🌸】
2025年11月に開催された27回生の同窓会に参加し、桜丘会現会長の浅井さんから原稿を頼まれた。ホームページに掲載された「会員の活躍」をすべて読ませて頂いたうえで、何を書こうか迷いつつ、齢68となり幸せな人生を送って来たと思っているので、高校時代まで立ち戻って、その後の50有余年の人生の岐路の判断とその心象を書いてみようと思う。要約すると学生の頃は社会の中で自分の居場所を探して彷徨い、青壮年期には自分で選んだ居場所で求められる務めを果たして実績を重ねながらも、壮年期が深まるに従い顕在化する自分の心が求めるものとの折り合いに悩み、老年期になって居場所と心の双方が求めるものが一致するお話しです。最後は上手く行っていますが、そこに至る人生の岐路の判断は悩みながら下したものです。「君たちはどう生きるか」ではありませんが、後輩の皆様に少しでも参考になるところがあればと思い書いてみます。
高校時代は、夢中になって打ち込むものも無く、なりたい夢も無く、凡々と過ごしていた。高校まで徒歩通学で朝8時に家を出て、15時半には帰宅していた。覚えることが少なくてすむ数学が好きで、SF小説を読み耽りながら、他の教科もそれなりに勉強した。今で言う陰キャの学生である。
なんとなく名大の航空学科に進み、専門課程で受けた講義は全てが応用数学で、数学の洗礼を受け続けた。そこで学んだ連続体の振動は、偏微分方程式と線形代数を融合した数学で、一生関わっていく数学となった。大学4年間では技術者になる覚悟は定まらず、一人立ちへのモラトリアムとして東大大学院の航空宇宙工学専攻に進んだ。そこには賢い人がたくさんおり、東京の大都会感にも馴染めず、なんとなく縁もゆかりも無い神戸製鋼に就職した。いわゆる都落ちであるが、技術者になる覚悟は定まっていた。
会社では研究所に配属され、機械騒音の低減業務に従事した。振動と違い騒音は勘と経験と実験で完結しており、3年もあれば一通りの業務はこなせた。意味のない仕事を減らすため、勘を理論に、経験を数式に、実験データ整理をパソコンプログラムに代替して、業務効率を3倍くらい高めた。今では到底考えられないが年間3000時間近く働いていた。バブルの恩恵で米国の大学に1年間客員研究員として留学し、音響の理論研究を独力で行える自信も得た。35歳で管理職になると企画管理運営系の業務が漸増し、40代に入ると業務時間の50%近くがそこに費やされた。この種の業務に満足感を得られず、大学への転身を意識することになった。
その後学位を修得し、念願が叶って46歳で京都大学機械理工学専攻の准教授となった。自分で自分の仕事内容を決められる状況に歓喜し、機械工学系の研究も頑張ったが、医工連携(血圧脈波)や楽器など京大ブランドで依頼されるテーマもあり、研究領域の幅は広がったが昇格するほどの成果は上げられなかった。幸いなことに54歳で関西大学機械工学科の教授に転進できた。京大ブランドを外れたので依頼される研究も減り、ダメもとで機械系の音響波動振動現象で世界レベルの未解決問題に挑戦することに決めた。大博打と言っても良い決断だったと今でも思っている。50代の教授職であれば、管理運営系の業務とそれまでの研究の延長線上でお茶を濁すことも可能だが、大学教員デビューが遅まきの40代であり、京大での研究は不完全燃焼だったので、一念発起した個人のプロジェクトである。振り返ると、趣味趣向は高校時代に既に表れていた。そのころから数学が好きで、SF小説では空想夢想した技術の仮説を起点に、その後は現実のルールや法則に従ったSF小説のシナリオに違和感が無かった。自分の専門領域であれば常識は分かっているし、未解明の研究テーマが残っていることも知っている。SFではないが少し変わった着想から、非標準的な数学手法を未解決問題の上流部に起点として配置し、その後は既知の点や線と上手く繋いで数学と力学だけで数式を書き切る仮説形成推論の手法を適用した。バイオリンの擦弦振動や種々の音響自励現象などを、数式展開だけで結論まで書き切ることに成功した。終わり良ければ全て良しで、50代後半で始めた未解決問題への挑戦が上手く実を結び続けて、68歳の今でも特別契約教授として、新たな未解決問題の数式展開を考えて日々を楽しく過ごしている。3年考えても迷路から抜け出せない研究テーマもあるが、考え続けた中のある瞬間の閃きでその後はスイスイと進んだテーマもある。古典力学の音響波動振動分野のごく狭い領域ではあるが、いくつかの普遍的な事実や解釈を見出すことができたので、個人的には良い研究者人生の終末期を迎えられたと思っている。(もしご興味あれば「宇津野の部屋」を検索ください)

