ナターリヤ・セメンチェンコ著
織田 桂子(学25P)訳
未知谷(本体2,000円+税)
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻の12年も前に、ウクライナの作家・経済学者であるナターリヤ・セメンチェンコ氏が同胞に向けて一冊の警世の書を書いていた。 国家を分断しようとする動きに危機を感じた彼女は、膨大な参考文献を基に歴史、宗教、言語、政治、等の様々な観点から、独立国家にとって何が重要なのか、当時の現況を示し問いかけた。
2008年の著者の日本旅行の際にガイドを務めた訳者にもその本は贈られていた。 ロシアによるウクライナ侵攻という信じられない出来事を前に、ウクライナという国についてこの本から知り得たことを伝えたい・・・という訳者の思いが今回の日本版発刊に繋がった。 この本に書かれていることはウクライナのみならず、日本にとっても重要な示唆である。
日本版発刊に際して著者が加筆した「親愛なる日本の読者の皆様へ」は、今もキーウに残る氏の生の声で、読む者の胸を打つ。