卒業生コラム① 岡村浩規(昭和55年度卒業)

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中学1年生の英語ギャップ

小学校では楽しく感じていた英語が中学校に入ってすっかり苦手に―。そんな「中学1年生の英語ギャップ」につまずく生徒が少なくない。背景には、近年の中学英語の急激な難化や、小中での学び方の違いがある。保護者の皆さん、学校の英語がかつて(自分たちの時代)と大きく変化していることをご存じですか?

 

2020年度に小学校の高学年に外国語科(英語)が導入された。そして中学校では2021年度に今の学習指導要領に切り替わり、学習内容のレベルが格段に上がった。例えば単語の数が増えた。以前は中学卒業までに1200語程度だったが、現在は小学校で扱う600~700語は既習とされ、中学でも1600~1800語。文法では高校で学んでいた現在完了進行形や仮定法が中学校に下りてきた。「話す力」も自分の考えや気持ちを即興で伝えるなど、より強く求められるようになった。

 

英語教育が強化される中で、子どもの英語力の向上を示すデータもある。文部科学省が毎年実施する英語教育実施状況調査では、中3で「英検3級相当以上」の力がある生徒は増えており、2023年度は50・0%。調査を始めた2013年度以降、初めて半数を超えた。

小学校時代に学校以外でも何らかの英語学習をしていた中1とそうでない中1では、入学直後で学力に大きな差が付いている。そのため幼い頃から習い事として英会話教室や英語塾に通っている子も多い。英検2、3級レベルの生徒と授業が理解できない生徒が同じ教室にいることも珍しくない。この学力格差も、中学で英語を頑張ろうと思っていた生徒がやる気をなくし、その後の英語嫌いを生む要因になっているのではないか。小学校ではもう少し読み書きの指導を、中学校では最初の段階でフォローをしてほしい。

昭和55年度卒業 岡村 浩規

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