川柳作家こはらとしこさんに聞く

 地元二本松はもとより県内外から広く参加者が集う「川柳ZERO句会」を主宰するこはらとしこさん(小原俊子 昭和53年卒)をご紹介します。

 川柳専門誌「川柳マガジン」表紙を飾る小原さんは結い髪に着物姿だったため、勝手なイメージ(ちょっと厳しめの和の雰囲気?)を持ち少々固くなってお待ちしました。ところが、現れた小原さんはカジュアルな洋装で髪もセミロングにふんわり優しい笑顔。一気に緊張がほぐれました。

 川柳との出会いは家族旅行先の川柳募集に妹さんが入選したこと。その後妹さんに勧められ、日々の鬱々とした気持ちを詠んで投句してみるとそれが入選し、自分の表現が理解され評価されることが喜びとなり川柳作家への道が始まりました。

 「誰にも聞いてもらえない小さなつぶやきを自分の言葉で川柳に詠み、投句する。それを選者が見つけて私の心に耳を傾けてくれる。活字になって全国に飛ぶ。知らない誰かが読んでくれる。・・・・」(川柳マガジン「こはらとしこ特集」から引用)

 「澄みわたる青田に何の罪と罰」

 同誌で紹介された小原さんの句のなかでも、特に東日本大震災原発事故のさなかに詠まれた多くの句には、同じ福島県民として心に突き刺さるような衝撃と共感を感じずにはいられません。

 小原さんは川柳の専門誌などで入選を重ね、県内で最も権威ある賞といわれる「福島県川柳賞」で正賞を受賞するなど頭角をあらわされました。やがてご自分で句を詠むだけでなく、句会や新聞の川柳コーナーの選者や川柳講座(教室)の講師としても活躍されるようになりました。

 退職後には川柳の可能性と奥深さをより一層広めたいと、令和2年にご自分が主宰する川柳結社「川柳ZERO」を創設されました。おりしもコロナ禍に差し掛かった時期、対面を避けるなどの様々な工夫を凝らしながら句会を育ててこられています。

 大きなイベントとして年2回の句会、特に秋は「二本松市民川柳大会」と合わせて開催されますので、同窓生の皆さんも参加されてはいかがでしょうか。

 「明日への道をきれいに掃いておく」

 

      (取材 同窓会副会長 鹿又いづみ)